エロゲーの未来について真剣に考える

なんか色々仕事の話で書くことがあった気がするけれど、今日はそんな気力がないのだった。とりあえず12月と1月に出るものの話は近々書きます。あ、あとコミケでは多分コスプレしてます、誰がやっても叩かれるだろうキャラをやろうと思います。

「財布と携帯をなくしPCデータが飛んだ。俺たちはおしまいだ。」
昨日酒を飲んでいたら「Forest」の話が出て感動。世界に田中ロミオと並ぶエロゲライターがいるのなら、それは間違いなく星空めておなのだが、どうもイマイチ知名度が低い気がする。ライトノベル業界に参入してくれれば爆発する予感もするのだが。

そういえば2009年、俺はほとんどエロゲーをやっていない。忙しかったからとか物理的制約もあるわけだけど、やはり寝る間を惜しんでやりたくなるようなキラーコンテンツがなかったというのが最大の理由だろう。

ぶっちゃけ今のエロゲ業界はライターでいえば5人くらいで回っている(象徴的な意味では)。奈須きのこ田中ロミオ丸戸史明を押さえとけば大体分かる。

問題はこれから後続が出てくるのかということだが、パッと思いつくのはやはりkeyの都乃河とnitroの下倉バイオ。前者はリトバスのライターでもあるのだが、まだ実力は判らない。リライトでロミオと竜様に喰われないかどうかが勝負。下倉バイオに関しては、スマガとシュタインズゲートによってスターダムへの道が開けた気もするが、ぶっちゃけ俺はもうループゲーに未来はないと思っているので、ゼロ年代も終わるし、新しい武器を手に入れてほしい。

あー、今年。今年ね。もう終わるね。2009年ベスト10とか作りたいけど、多分今年出たゲーム10本もやってない。けどまあ俺つばと真剣恋は面白かったですよ。前者は期待ほどではなく、後者は期待以上だった。

来年のことを考えると、まずはkeyの『Rewrite』、めておの『Girl's work』、きのこの『魔法使いの夜』あたりをベースに、予想外の面白さを備えたゲームがどれだけ出てくるか。

しかし今のエロゲの停滞感は何とかならんだろうか。二つぼんやりと考えてることがある。一つには、昔作った同人誌で書いた批評の話とも繋がるのだが、『痕』や『果て青』にあった「不気味なもの」を取り戻すという方向性。うみねこがなんだかんだ面白いしヒットしまくってることを考えると、もう一回リバイバルが来てもいいと思う。そして民話や伝奇の想像力をどんどん活用して、それをここ10年で変化した萌えと組み合わせれば、新しい市場が開けそうである。もう一つは、方法論の縮小、いくつか禁じ手を自ら作ってしまうことである。具体的にはメタ視点、ループ、白痴少女などなどのセカイ系要素を完全に封印してゲームを作ろうとする意思を持った方が面白いものは出てくるのではないかということだ。ぶっちゃけもうセカイ系は飽きた。いや、正確にはテンプレ化して記号的にサクサク使われるセカイ系の諸要素にいささかウンザリしている。パラダイムシフトのためには、構造レヴェルとキャラクターレヴェルでタブーを設定していくしかないんじゃないだろうか。先に挙げた俺つばとマジ恋が良かったのはこの辺の要素を完全にハジいているからだ(逆に言えば、ポストセカイ系として俺つばやマジ恋のラインを語っていくことは出来そうだ)。しかし、ここまで書いて気付いたが俺の思考は明らかに宇野常寛にだいぶ侵食されている。

俺の考えを整理するとこういうことである。①セカイ系の構造は2004年頃までは素晴らしかった②しかし、それ以降ループやメタ構造が駄目なテンプレとして機能してしまった③かつての「不気味なもの」は健全化した業界によって淘汰されたが、今の状況では逆に武器になるのではないか④ただし、「伝奇系」をリーンカーネイトさせるためにはゼロ年代におけるキャラクターや物語のパラダイムシフトを組み込む必要がある⑤エロゲーの未来はそこから始まるのだっ!!

ちなみに全てのエロゲーマーが読むべきあまりにも素晴らしい本として『美少女ゲームの臨界点』(2004)があるわけだが、あそこにいつまでも甘えているのはやはり駄目だろう。俺たちはトラウマ少女の誘惑から脱出して、少女に無駄な傷を負わせずに展開されるドラマについて考えた方がいい。最近俺は友人たちに「おまえフェミくさくなってるよ」と言われるがその通りである。俺は女の子をまず弱者や「救われる者」として設定して、プレイヤーが「救う者」を気取れる物語構造に嫌気が指している。ある種これはエロゲーマーとして決定的な転向であり、セカイ系パラダイムからの離反でもある。なんで俺がこんな気分になっているかを説明するには、なぜ今俺が腐女子を嫌っているのかという話から入らないといけなくなるので割愛である。

いずれにせよ、2010年はエロゲー的に超重要な年になると俺は予想している。それはセカイ系(リライト)が勝つのか伝奇系リバイバル=ポストセカイ系(ガールズワーク、魔法使いの夜月姫)が打ち倒すのかという決定的な問題を2010年は含んでいるからだ。当然、今の俺は後者に未来を見ているが、市場のことはわからない。ただ、全てがテンプレ化していく世界に未来はないだろうということだけは断言できる。