東京は全く一枚岩じゃないから

どもども、坂上です。今日はついに禁を破って麻雀に行ってしまいました。約5ヶ月ぶりに牌を握りましたがやはりよいものです。朝9時から打ち始めて昼12時の時点でマイナス3マソ。やばい、このままでは同人誌が出せなくなるではないかとの焦りから気を引き締めてそっから4連勝。どうにかプラス7000に持っていって店を後にしたのでした。
まあ、麻雀のことはどうでもいいんですけど、とりあえず僕がここ3年ばかり通っている雀荘は渋谷にあるんですね。なので今日も当然朝から渋谷に向かっていたわけです。で、朝の時点では何も感じなかったんですが、夕方四時頃店を出て、センター街や道玄坂のあたりをブラついていると、なにやら不思議な気分になったんですね。やっぱりこの街はなんか違うなあと。
地方から上京した友人や後輩の話を聞いていると、どうも渋谷・新宿・池袋は一くくりに「恐い街」とされていますが、それはまったくもって間違った認識です。や、確かにどれも治安がいいということはないのですが、恐さの質みたいなものは全く違う。池袋は端的にチーマーとギャングの街です。どっちも最早死語になっているだろうけど本質的なところはあんまり変わっていません。基本的にB系のゆるめの服装をしたお兄ちゃんたちがいっぱいいます。僕が中学生や高校生だった頃はカラーギャングと呼ばれる人々が幅をきかせていて(今もいるのだろうか?)、白ギャンとか青ギャンとか、全身を一つの色で固めたコーディネートをして対立しあったりカツアゲを行ったりカップルを追い回したりとなかなかにおっかない街でしたが、どうも最近街を歩いていると随分平和になった印象を受けます。少なくともIWGPみたいな雰囲気ではない。
これが新宿になると、何と言うか、恐さの質が「大人」のそれになります。あんまり若者がいないんですね。それこそ『夜王』みたいな世界が裏路地一本入ったら広がっている感じで。けど、僕の場合本当に恐いのは歌舞伎町ではなく西口公園や二丁目だったりします。ここで言ってる恐いってのはヤクザ的なそれではなくて、なんというか、そこにあるコミュニケーションの形態とかに関わるそれです。それは店のお姉さんがある日ふっと店をやめてしまうとか、いつもいたホームレスのおじさんが亡くなっていたりとか、セックスをしても相手の名前も番号も知らないとか、ある種の希薄さ、人の移動の早さの問題だったりします。桜井章一が「新宿は金魚がたくさん泳いでいる水槽のような街だ」とかそんな感じのことを言っていましたが、まさしくその通りで、新宿で生きている人たちはすぐ遠くに泳いでいってしまうので、一度出会ってすごく仲良くなってもまた会える保証がない。じゃあ番号交換しておけばいいじゃんと言われるかもしれませんが、そうした瞬間的な出会いだからこそ奇妙なテンションを共有できるというメリットもあるわけで、そうも簡単な話じゃなかったりします。新宿での交流は常にどこか距離がある、だからこそ楽しかったりするわけですが、時々いなくなった人たちのことを思い出していささかおセンチな気分にさせられる、そういう街です。
あ、随分話がそれたけど渋谷の話がしたかったんですよ。あれですね、渋谷、若いですね。ほんとに今日思いました。最近の僕は基本的に家にこもってばかりで出かけるにしても新宿で酒を飲むか恵比寿でコーヒーを飲みつつ原稿を書くかみたいな日々を送っていたので、軽い衝撃がありました。みんな髪を整えていて、服装にも気を使っていて、よくわかんないけど楽しそうで。それは別にリア充いいなーとかいう話では全然なくて、街自体が一つの磁場を持っていてそこに皆が吸収されてしまうという感じで。僕が新宿と家の往復運動を繰り返している間にも、新しいグロスは売り出されるし、女の子はシャレた秋服を着るようになるし、ラブホテルの値段は高くなったりしている。
髪を切りたいなと、焦燥にも似た勢いで思いました。それはこのまま新宿二丁目と焼き鳥横丁で酒を飲んでいるだけだと何か大事なものを失いますよ的な感覚です。もうね、この感覚を持っちゃう時点で年を食った証拠なのかもしれないけれど、とにかく僕はここのところキラキラしたものからあまりにも遠ざかりすぎていたように思う。そしてそのキラキラってのは池袋にも新宿にも、ましてや代官山や青山に転がっているようなものじゃなく、ライオンへアーのホストたちがひたすらおねえちゃんに声をかけ続け十四歳くらいの女の子がかなり方向性の間違ったオシャレに走ってたりする光景の中だけに存在するものなんじゃないかと思ったりするわけです。
あ、長くなりましたね。何が言いたいかというと、せっかく麻雀にも勝ったので髪を切って服を買おうと、それだけの話でした。今年の流行色は紫だそうで、僕の持ってる服は半分くらいが紫なので流行色を意識してると勘違いされそうで恐いです。もうね、服もマルイだけですませるのはやめて、たまにはセレクトショップにも足を伸ばそうと思う。汚いキーボードをいじりながらそんなことを考えました。

あと二つばかりどうでもいい私信。ざもすきさん、僕の通っていた中学・高校は江古田にありました、なので僕も練馬を愛する一人です。筑井さん、マルイ系というのはポール・スミスやトルネードマートに代表されるマルイ系列のビルに入っているショップを指します、特徴としてはひたすらに細身であることがあげられます、見る人が見たら、アイツマルイ系だなとわかってしまいます、ファッション板では伊勢丹に行く金がないやつがマルイに走ると言われていて微妙に肩身が狭いですが、僕はマルイが大好きです。