雨がだるだる日曜日―1Q84、ヱヴァ破、多摩川の日差し

おはようございます、坂上です。
気力が沸かないので現実逃避気味にエントリを上げることにしました。しかし、疲れ気味なのでエッセイっぽくだらだら書こうかと思います。

1Q84』についてはすでにいろんな人が語ってますが、何を考えているんでしょうか。後に叩かれるリスクを承知で言いますが、どう考えてもこの作品は完結していない。普通に読解すれば次巻が刊行されることは明らかです。そもそもBOOK2の時点では物語は何も始まっていない。もしここで終わるのならば、『1Q84』は「1984年を舞台に「ちっこくてよくわからない影響力を持った存在」(=リトル・ピープル)をビッグ・ブラザーの代わりに置いた偽史」に留まります。
過去の村上春樹作品と関連づけて言うならば、本作の読後感は『ねじまき鳥クロニクル』に近いものになっているでしょう。天吾が青豆を見つけ出すことを決意するというラストは、「ねじまき鳥」で「僕」がクミコを取り戻す決意をするシーンとどうしても重ならざるを得ない。しかし、「僕」とクミコの間には夫婦生活という歴史が存在していたのに対して、天吾と青豆の間には歴史が存在しない。彼らは10歳の時に同じ教室で時間を過ごしていたという思い出を共有してはいますが、それから先の十数年間は空白です。したがって『1Q84』という物語は、天吾と青豆による「なんだかよくわからないけど、自分は相手との思い出を持っているから生きていける」という謎のパワーによって駆動しているわけです。その意味では過去の村上作品と比べてもはるかにエロゲー的な力学が働いている。そのこと自体を否定するつもりは全くないのですが、この二人の関係性と1984年という舞台設定との関連は今のところ全く記されていません。それが明らかにならないのであれば、2009年現在に1984年を舞台の小説を書いたことのアクチュアリティそのものが消失してしまうことでしょう。僕が続編を信じているのはそうした理由によります。村上春樹がぼんやりした締め方をするのはいつものことですが、少なくとも彼は投げっぱなしジャーマン的なヌルさを見せる作家ではないはずです。そんなわけで、僕は『1Q84』について現時点で何かを語ることはよしておきます(でもお問い合わせセンターのおばちゃんに「これで完結です」って言われたんだよなあ……うーむ、おばちゃんより直感を信じよう)。

「破」を見てきました。もちろん初回です。エヴァオタの意地です。新宿や渋谷はヤバいことになるだろうと思い、徹夜で府中に向かいました。それでも100人以上の行列になったので大したものです。
大傑作です。朝の四時代から京王線に揺られた甲斐はありました。仮設伍号機の戦闘シーン、式波さんの登場シーン、ラストの戦闘シーンと、エヴァが動く箇所に関してだけでも本当に素晴らしかった。おそらく、エヴァについて予備知識のない人でも、これがアニメーションとしてどれだけハイクオリティであるかは伝わる出来になっていたと思います。反面、ストーリーに関してはTV版を見ていない人にはツラい部分があるかもしれません。アスカやレイがいきなりシンジに好意を抱いていたりするわけですが、TV版と違って細かい話がカットされているため、何でそんなことになってるのか理解できないわけです。もともとエヴァが好きな人は勝手に脳内補完できるけれど、新劇場版から入った人にはアスカの態度の変化とかマジで意味不明なはずです。
内容に関して深くツッコむのは別の機会に譲ることにして、とりあえず「破」に関して形式的な読解を行ってもあまり意味がないというのが僕の見解です。「またループかよ」とか「新キャラのテコ入れ失敗だろ」とか大味な話をしていてもしょうがない。重要なのは、まばたきしたら見落としてしまいそうなほど細かい演出の積み重ねが、15年ばかりの歴史と共鳴しあってエヴァンゲリオンという物語の全体をリビルドしているという点です。
2chエヴァ板を見る限り大絶賛の嵐なわけですが、仮に周りの人が駄作認定していても見に行くことをオススメしたいと思います。マジで冒頭から物凄い引き込まれますよ! あ、あと使従のデザインを一つ鬼頭莫宏(『ぼくらの』とか『なるたる』の作者さんですね)がやってます。これがまたとても鬼頭さんらしいデザインなので、そこを楽しみに観るのもいいかもしれません。

府中に行ったついでに、友達と多摩川沿いを一時間半あまり散歩してきました。サッカーしている中学生を尻目に煙草を吸う自分たちの姿はどれだけムサ苦しいものだったのでしょうか。初夏の日差しが全く似合ってなかった気がします。僕は中学時代生物部の部長をやっていました。その名残でしょうか、今でも時たま無性に川や山に出かけたくなります。体力が激しく落ちているためなかなか実行できませんが夏にはBBQとかできたらいいなあ。リア充にはなれなくてもBBQやったり自然を楽しんだりする権利はあるはずだと思うのです。

現実逃避が長くなりました。次の更新ではニコニコ動画の「歌ってみた」カテゴリのお薦め紹介でもしようかと思います。それではまた。